逐次通訳の故意的「加訳」と「意訳」
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逐次通訳の故意的「加訳」と「意訳」
[2010/10/18] 逐次通訳の原則は、「何も足さず、何も引かない」ですが、あえて「加訳」や「意訳」が行われる場合があります。
例えば、「アメ横」を英語にするときは、なんと訳せばいいでしょう。Ame-Yoko Shopping Streetと単純に訳出するよりも、逐次通訳者が即座に知識と判断力を駆使して、「戦後、闇市が立ち、アメリカ人の払い下げ、横流しの品が流通したことに因んで名づけられた、アメ横商店街」と、「加訳」をした方が、時間がかかっても、それを聞いた聴衆の理解はより深まるかもしれません(但しアメ横の名前の由来については複数の説があります)。
菅政権のスローガンでもある「強い経済、強い財政、強い社会保障」の「強い」は全て同じ語で訳出していいものでしょうか? 内容をよりよく伝えることを考えて逐次通訳を行う際は、時に「意訳」が必要なときもあります。逐次通訳に従事する通訳者は、日本語、外国語双方における豊富な語彙と、言葉の由来に関する豊富な知識、そして用いる言葉の取捨選択に関するその場の判断が求められるのです。
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